世界線 1%
エアリアルの競技コンペだって、他のスポーツや勝負事と変わらない。才能も努力も勝つ可能性を上げてはくれるが、勝利の保証まではしてくれない。最後に勝つのは最も才能がある者とも、最も努力をした者とも、単に最も強い者とも限らず、偶発的な事故や制御不能な事情などはステージの外からですらいくらでも押し寄せて来て、人類が何千年も飽きずに繰り返してきた歴史的営みと同じく、勝者と敗者は目まぐるしく入れ替わる。…

私の専門はコンピュータサイエンス、特にAIの一分野の研究開発なのだが、この分野でもエアリアル同様にコンペというものがある。 最も有名な舞台はKaggleという巨大な闘技場だろう。とにかくパフォーマンスが高いコードを書いたものが優勝するというフェアさが爽快で、我こそはと自負する者、つまり優秀なエンジニア・研究者という、不遜さと実力が美味しくブレンドされた人種が、お互いを出し抜こうと世界中で日夜シノギを削っている。…
ノーベル物理学賞も受賞した我らがリチャード・ファインマン先生は、カルテックで学部生の講義に臨む際、「この教室にいる学生のほとんどがプロの物理学者にならないことは承知しているが、それでも最も能力のある学生 (将来のプロ物理学者) を基準にして教える」というスタンスを明示していた。つまり、クラスに1人か2人いる将来の物理学者になるような極めて鋭い学生に向けて全力投球するというスタイルを取っていて、それをおおっぴろげに話していた。…