目の取引

今のあなたという人間を作った決定的な瞬間の中には、何かの初体験が多くあると思う。 初めて学校に行った日。初めての友達。初めての敵。初めて家族ではなく恋人とお祝いした誕生日。初めて最終コーナーで外側からアンカーを抜き去って切ったゴールテープ。初めてエアリアルシルクを知った時。…

スピンの研究 2

無限のバリエーションがあるスピンシーケンスだが、舞台や演出の目的から考えると、自ずとどんなスピン技をどんな順番で、そしてどんな姿勢や軸や速度で実施するのが良いかは定まってくる。 例えば曲や舞台のテーマとして特に自由や解放感を見せたい場面なら、身体を広げた動きの大きさや、流れる風が抜けていくようなシームレスな繋ぎを優先させた捌きが必要になる。…

最大の祝福を、私達の失敗に

私の専門はコンピュータサイエンス、特にAIの一分野の研究開発なのだが、この分野でもエアリアル同様にコンペというものがある。 最も有名な舞台はKaggleという巨大な闘技場だろう。とにかくパフォーマンスが高いコードを書いたものが優勝するというフェアさが爽快で、我こそはと自負する者、つまり優秀なエンジニア・研究者という、不遜さと実力が美味しくブレンドされた人種が、お互いを出し抜こうと世界中で日夜シノギを削っている。…

夢の中の人

エアリアルシルクが空中で行われるだけの競技・芸事だと捉える見方は間違い、でなければ不完全だと思う。 一般的にエアリアルシルクはほぼ完全に空中で行われるもので、フロアワークはそれにほんの少しのお化粧をするために (例えば演技開始前などに) 少しタッチしても良い、くらいの舞台が多い。…

スピンの研究

スピンはしばしば、自由や解放感の表現として使われる。 確かに回転している身体には、観ている者すら酔わせるところがある。だが実際その内には、かなり醒めた設計が埋め込まれている。 エアリアルシルクのスピンは、ただ回ることではなく、①どうやって回転を起こし、②どうやって速度を上げ、③回っている最中に何を見せるか。この3つの組み立て全体が、多彩なスピンを作っている。…

プロになるつもりで取り組む他ない

ノーベル物理学賞も受賞した我らがリチャード・ファインマン先生は、カルテックで学部生の講義に臨む際、「この教室にいる学生のほとんどがプロの物理学者にならないことは承知しているが、それでも最も能力のある学生 (将来のプロ物理学者) を基準にして教える」というスタンスを明示していた。つまり、クラスに1人か2人いる将来の物理学者になるような極めて鋭い学生に向けて全力投球するというスタイルを取っていて、それをおおっぴろげに話していた。…

真っ赤な真実

自分には当たる可能性があると期待して宝くじを買う数学者もいれば、神や宗教を信じる敬虔な科学者だっているように、人は客観的な証拠がないことや、平たく言えば正しくない (と知っている) ことでも信じることができる。つまりそれが真実かどうかと、自分がそれを信じて行動できるかどうかは別だということに着目しよう..…

通し練から始める練習メニュー

私の (大会前の) 毎日の自主練メニュー。 1. (スタジオに向かう途中、音源を聴きながら頭の中で2~3回通し練) 2. スタジオに着いたら、つべこべ言わずにいきなり本番形式で通し練 (&撮影)…