手放すほど、上手くなる

私が尊敬するエアリアリストの一切の身体的雑音もない澄みやかなフローを見ていて気がついたのは、エアリアルシルクが上手い人ほど、シルクを支配しようと力を込める瞬間がほとんど見えないということだった。 つまり、手放すほどきっと、エアリアルシルクは上手くなる。…

消えないものから順に置く (演技構成の作り方)

自分だけのエアリアルシルの演技構成を考え、組み上げていくのは本当に楽しい。 それは技や表現のレパートリーが増えた人だけに開かれる遊びであり、自分が何を見てきて、何に傷つき、何を美しいと思ってきたのかをひとつの演技に向けて引きずり出せる棚卸しの機会でもある。…

深夜の練習🗼

深夜に東京のスタジオを借りて、ひとりで練習する時間がとても好きだった。 私が夜半に借りる東京のスタジオは、2つあった。…

スピンの研究 3 (エアリアル教材紹介②)

スピンの研究 1 ではエアリアルシルクのスピンがそもそも何で & どうやって作られるのかについて、スピンの研究 2 では構成と演出の視点からどんなスピンを選ぶかについて書いたが、実際の技術習得については我らが @Moodystreetcircuskid さんのこちらの教材も参考にされたい。…

世界線 1%

エアリアルの競技コンペだって、他のスポーツや勝負事と変わらない。才能も努力も勝つ可能性を上げてはくれるが、勝利の保証まではしてくれない。最後に勝つのは最も才能がある者とも、最も努力をした者とも、単に最も強い者とも限らず、偶発的な事故や制御不能な事情などはステージの外からですらいくらでも押し寄せて来て、人類が何千年も飽きずに繰り返してきた歴史的営みと同じく、勝者と敗者は目まぐるしく入れ替わる。…

目の取引

今のあなたという人間を作った決定的な瞬間の中には、何かを初めて経験した時というものがあると思う。 初めて学校に行った日。初めての友達。初めての敵。初めて家族ではなく恋人とお祝いした誕生日。初めて最終コーナーで外側からアンカーを抜き去って切ったゴールテープ。初めてエアリアルシルクを知った時。…

スピンの研究 2

無限のバリエーションがあるスピンシーケンスだが、舞台や演出の目的から考えると、自ずとどんなスピン技をどんな順番で、そしてどんな姿勢や軸や速度で実施するのが良いかは定まってくる。 例えば曲や舞台のテーマとして特に自由や解放感を見せたい場面なら、身体を広げた動きの大きさや、流れる風が抜けていくようなシームレスな繋ぎを優先させた捌きが必要になる。…

最大の祝福を、私達の失敗に

私の専門はコンピュータサイエンス、特にAIの一分野の研究開発なのだが、この分野でもエアリアル同様にコンペというものがある。 最も有名な舞台はKaggleという巨大な闘技場だろう。とにかくパフォーマンスが高いコードを書いたものが優勝するというフェアさが爽快で、我こそはと自負する者、つまり優秀なエンジニア・研究者という、不遜さと実力が美味しくブレンドされた人種が、お互いを出し抜こうと世界中で日夜シノギを削っている。…